[]書評「ナナヲ チートイツ」

ナナヲ・チートイツ (メガミ文庫)ナナヲ・チートイツ (メガミ文庫)
著者:森橋 ビンゴ
販売元:学習研究社
発売日:2009-01-27
おすすめ度:4.0
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わはは! やるなあ!
萌え成分あるじゃん。ちょっとだけど。
全体はハードな感じだから、ほんのちょっぴりの萌えでも十分だと思えるのが不思議だよね。ナナヲかわいいよ。
ナナヲが最後の勝負の待牌を「あれ」にした理由が、このハードな麻雀小説にひとひらの幸せをもたらしてくれる。それが、救いになっている。

主人公の中也は、父親に裏切られヤクザの女親分の初音に買われるのだけど・・・
うーむ、編集者さんのブログには、「美人にしろ」とかいうやりとりがあったようなことを書いていたけれど、あれ? つややかな体とは書いてあるけど、美人とは書いていないような(笑)
きっと、作者さんとの間で微妙な妥協があったのだろうな。
不思議な感覚なのだけど、初音はもっと皆が嫌悪感を持つような容姿にした方が、(闇麻雀大会で勝っても自由になれないならば)一緒に死のうというナナヲと中也の覚悟が際立つと思うんだ。だからそこは作者さんに僕は一票入れたい。でも売れるか?というと、今のこれでも相当微妙だけに難しいのだろうけど。

麻雀がわからないと、この小説は楽しめないとは思う。
しかし、知っていさえすれば、文句なしに面白い。
持牌ひとつで、絶望であるとか、あせりであるとか、希望であるとか、圧倒であるとか、二人の信頼だとか、そんな状況が端的に示されている。
それに、配役もなぜこの人がこういう扱いなんだ?みたいなところに、ちょっとした仕掛けがしてあったり、ストーリーもいろんな伏線をはっていたり、文句なしに力作だと思う。

この作者、書きたいものと売れるものが違って苦しんでいるのかもしれない。だから、麻雀好きの人、ライトノベル読者層にはあまりいないと思うけど、もしそうならこの本読んでみたら?って素直に薦める。

でも最後に一言。
編集者さん、ブログで「どうすれば売れるかさっぱり分かりません」なんて書いているくせに、すっかり次回作に続くみたいなエンドじゃん。
もしかして、もう次の出版間近?(笑)

まあ、いいや。もし続きがでたら、僕は買うよ。