(スーパーダッシュ文庫)「小学星のプリンセス☆」感想

小学星のプリンセス☆ (集英社スーパーダッシュ文庫)小学星のプリンセス☆ (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:餅月 望
販売元:集英社
発売日:2008-06-25
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

今日、2010/3/25は、わかつきひかるさんの新作「そだてて!まりあ!」の発売日ですが、それを記念して、イラストレーターつながりで、「小学星のプリンセス」のレビューを書きたいと思います。

この作品、典型的な、ある意味テンプレート的な、ボーイミートガール物語ですね。小学校の時の同級生の女の子と高校になって再開するという物語です。
よくあるストーリー? うん、そうなんですけどね。
でも、たったひとつだけ、この作品の独自性があるんですよ。

それは、17歳になったはずのヒロインの女の子が、見た目、小学生のままなんですよ。それはなぜかというと、この女の子、地球人じゃなくて、小学星の王女様なんです。小学星の人は、見た目が小学生のまま大人になるんですよ。

それだけ?
うん、それだけ。
でもね。たったそれだけで、普通のボーイミートガール物語が、いけない感覚(いわゆるロリ感覚)に襲われたり、切なくさせられたり、主人公に「しっかりしろ!」といいたくなったり、雰囲気が変わるんですよ。
意外や意外。
面白いんですね。

見た目、小学生で主人公の前じゃ、本当にロリロリな雰囲気を漂わせるヒロイン、ルリスですが、主人公の知らないところでは、為政者としてやるべきことはやって責任を果たし、しかし自分の感情、主人公の貢への愛を貫き、無理を通して再度地球へやってくる。
とても素晴らしい人物で、大人の雰囲気を醸し出すんですよ。
でも、見た目が小学生なんだ(笑)

責任を果たす大人の行動と見た目、そのギャップに加え、小学生を愛情の対象にしてはいけないという大人の読者としての常識感と、見た目小学生だけど大人の女性と見てしまいそうになる、自分自身のギャップ。
それがこの作品の面白さの本質のように思いました。

どこか頼りない主人公もだんだんと成長して、ルリスに相応しい行動を起こすようになります。
二人のぎこちない、でも純粋な愛情の交換(エッチな意味合いではありません)に、ついついエールを贈ってしまう、そんな作品だと思いました。