[]書評「アニメ文化外交」

アニメ文化外交 (ちくま新書)アニメ文化外交 (ちくま新書)
著者:櫻井 孝昌
販売元:筑摩書房
発売日:2009-05
おすすめ度:4.0
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今ではすっかり「わかつきひかる」さんの追っかけやってますけど、そもそも、最初はこういった本を読んでいたのですよね。サブカルチャー関連のマーケティングや外交とかそういった類のものです。
それで、久しぶりにちょうどそそられる本があったので、さっそく購入してみました。

これまで外国人(主に中国人)と一緒に仕事する機会も多くって、酒の席とかでね、「なぜ日本に来たいと思ったの?」って尋ねると、たいてい「アニメが好きで」って答えるんですよ。だからこの本を読んで新たな驚きというのは全くありませんでした。逆に、日本のサブカルチャーが既に世界に浸透しているという事実が未だに新書の題材になるという、世間とマスメディアの認識の遅さが気にかかって仕方がありません。
著者もそれを問題視してこのような著書を著したのだと思います。

この本に書かれている内容は、国際的な仕事をする日本人なのであれば、今や常識として持っておく必要のある事柄だと思います。この本を読んだ後の感想として、私(民間)と公(国)の役割分担について著者と異論を持つ人も多いと思いますが、アニメを含む日本のサブカルチャーが、現在の日本の大きな魅力であり、強いては日本の国益に直結するという認識は、共通しているはずです。

今から二十数年前になるのですが、私は「氷室冴子」さん(注)のノベルが好きで出てくる新刊を心待ちにしながら過ごしていました。「新井素子」さんというもう一人のスター作者もいたのですが、どういうわけか「新井」さんのはあまり読みませんでした。しかし今の作家さんたちで、「わかつきひかる」さんも含めて、なんやかんやとこの二人に影響を受けた人って実は相当多いのじゃなかろうかと思っています。(マンガの系譜はちょっと省略)

(注)ご冥福をお祈りいたします。当時の本は紛失してしまったので、今新たに「雑居時代」を取り寄せています。氷室さんの本で初めて読んだ本です。もう一度読み返して、二十数年ぶりに感想を書こうと思います。一周忌には遅れてしまいましたが、書いたら追悼の意も含めてアップします。


それから二十数年がたちました。いろんな経緯があって、いまやライトノベルは数える事が出来ないほど出版され、そして消費されています。
私は、一旦ライトノベルから卒業していたのですが、再度読み始めるようになったのは、涼宮ハルヒの憂鬱の「ハレ晴れユカイ」の映像を見たからでした。




上記のは第七版のですけど、最初に見たのは三版だったかな。それを見て実はちょっと涙がでてしまいました。中に「ボスニアヘルツェゴビナ」の人の映像があったからです。悲惨な内戦の記憶が生々しいだけに、「ああ平和になったんだな」とちょっと感傷的になってしまいました。

この本の中でも少し取り上げられていますが、「ハルヒ」は作り手と受け手と、それをつなぐインターネットの最も幸せな結婚の一例です。
注目を浴びるのは頂点を極めたものだけというのは、世の常と言えますが、山の頂が高みにあるのはその裾野がとても広いからなのだと私は思います。
久しぶりにライトノベル読みに戻った私は、山の頂上の作品から読み始めました。そしてだんだんと降りてきて、そう、今は五合目ぐらいにいる作者の作品を好んで読んでいるようです。(頂上にも五合目にも基準はありません。あくまで例えですよ。)

五合目に関所のように構えて、やってくる作者の作品を並べて読みながら評価をしていく、そういった楽しみもあると思います。それもよい楽しみ方だと思います。作者さんたちは、そんな試練に平気で耐えねば、頂の上にはたどり着かないですものね。

一方、五合目にやってきた作者さんたちの中で、「あれ、この人いいな」って思える人がいたら、勝手にひっついて一緒に山を登る楽しみ方もあると思います。作品を待ちわびファンレターを送るしかなかった昔と違って、インターネットがあるので、ファンレターを兼ねて応援メッセージをたくさんの人に送ることもできるわけです。そんな楽しみ方のひとつの方法として、こんなファンサイトを立ち上げてみました。

(独白)ネットストーカーに思われるのじゃなかろうかと、ちょっと居心地の悪さもなくはないのですが、迷惑だったら「迷惑宣言」メールが来るかなと思っていて、それまでは続けようかなと思っています。

出版不況にインターネットは深く関係している、それもマイナスの影響が大きいというのは、今や常識とも言えましょう。せめて、自分が応援している作者さんには、マイナスの影響だけでなく、プラスのこともあってほしいなと願っています。
そして、他の作者さんのも含めて、勝手応援サイトがたくさんできて、交流できるともっと面白いなと。

本の内容とは関係のないことばかりの書評ですが、本を読みながらこんなことばかり考えていたので、これが正しく私のこの本に対する書評です。
長文、お読みいただいてありがとうございました。