[]書評「ルゥとよゐこの悪党稼業」

ルゥとよゐこの悪党稼業 (HJ文庫)ルゥとよゐこの悪党稼業 (HJ文庫)
著者:藤谷ある
販売元:ホビージャパン
発売日:2009-07-01
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わかつきひかる」さんのブログに紹介されるとすぐ読んでしまうというミーハーぶりに、われながらある種の情けなさも抱きつつ・・・

ルゥとよゐこの悪党稼業」読みました。
えぇ、面白かったです。

ライトノベルは行き帰りの電車の中で読んでいるのですが、よい意味ですらっと読めて、気がつくと第6章を読み終わっていました。
この本を未読の人のために説明すると、プロローグ、エピローグに加え、本編は8章の構成です。クライマックスは7章ですから、その手前まで一挙に読めます。そのときちょうど降車駅に着いたこともあって、そこで一旦本を閉じたのですが、すぐに続きが読みたいと思いました。普段は翌日の通勤電車の中で続きを読むのですが、今日は少し早起き(3時だけどw)して、続きを読み終わりました。
うん、面白かったと思います。

ルゥは悪魔、生れ落ちてから300年、孤独に耐えながら実体化する日を待っていました。でも実体化するとすぐにエクソシスト(姿はかわいい女の子)に追われ、消滅しそうになっている時、主人公の良児が現れます。
良児を下僕にしたルゥは、良児の力も借りてエクソシストを撃退するのです。

(ちょっと独白・・・ あれっ? このシチュエーション、最近「わかつき」さんの作品でも読んだような・・・ 物語の冒頭は奇妙なデジャブーに襲われつつ)

ルゥは大悪魔として、しょうもないこと悪事をこなしていきます。
コンビニでおにぎりのラベルが見えないように裏返したり、教室の入り口に黒板消しはさんだりというような、子供の悪戯大悪事ですね。
そんな小ネタをちりばめつつ、ルゥの独特のかわいらしさが迫ってきます。

(ちょっと独白・・・ もうこのあたりでデジャブーはなくなりました。この作品の世界に十分入り込んでいました)

こういった展開だと、ヒロインをいかにかわいらしく感じられるかが重要ですよね。ルゥはとても魅力的なかわいらしい女の子です。大悪魔なのに善人。いたずら好きだけど、とてもいい子なんですよ。
でも、あれっ?と思わせるエピソードもちょっとずつ混ぜてあって・・・
そしてクライマックスです。

クライマックスは、なかなか読ませます。ネタばれになるので詳しくは書けないですけど、「なかなかやるなあ」という感じ。切なさも感じますしね。
いい意味で、読者をちょっと裏切り、でも安心させ、そんな話です。

とても! 面白かったと思います。

でも最後にちょっとだけ、負の印象を書かざるをえないかな。
僕はあまり魔法系の作品を読まないせいだと思うのですが、エピローグでなぜこうなったか(ネタばれのため、このブログでは内容書けないですけど)、それの説明がなされます。それを読むと作者の細かな設定があるのだろうとは感じたのですが、ちょっと理解しづらかった・・・ 脳内では、良児の気持ちがそうさせたのだと読み替えたのですが、ストーリーで十分読ませると思うので、細かな設定ごとはちょっと蛇足かもしれません。
(僕だけの勝手な感想だと思いますが・・・ 作者さんごめんなさいね。)

でも・・・
続きを読みたくて早起きしたのは、とても久しぶりです。
次の作品を期待しています。