(ティアラ文庫)「愛百合女学院へようこそ」感想

愛百合女学院へようこそ (ティアラ文庫)愛百合女学院へようこそ (ティアラ文庫)
著者:成田 空子
販売元:フランス書院
発売日:2009-06-03
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百合小説というのを、これまで読んだ事がありません。
ですから、これが百合小説として、他の百合小説と比較してどうなのかはわかりません。
印象としては、これは男性向けのポルノ、特に美少女文庫のようなジュブナイルポルノに類似性がある作品だと思いました。

この作品は、典型的な「序破急」のフォーマットに沿って書かれています。
序:なれそめ。校則違反を問われた主人公(ヒロイン)の苺は、生徒会役員から逃げていた。そこで愛羅と出会う。百合性癖のある愛羅は、あいさつがわりに苺にキスをし、お尻と胸を愛撫する。
破:発展。苺はまたもやピンチを愛羅に助けてもらった。断ることができず、苺は愛羅の愛撫を受け入れる。ほとんど最後までいくが、苺が隠していた外傷、それは心の傷にもなっているが、それを愛羅に見られ、苺は混乱して逃げる。
急:相愛に。苺の部屋が火事になる。そのピンチをまたも愛羅が救う。愛羅の部屋で一夜を過ごすことになった苺は、愛羅の愛を受け入れ、関係を結ぶ。

この作品は、エッチシーンを楽しむ作品です。
まわりの登場人物、保健の先生も、副会長も、生徒会役員の双子も、苺と愛羅のエッチシーンのためのストーリー展開のために登場するのだと思います。
このあたりは、女性向けだなと感じたところですね。
男性向けのジュブナイルポルノは、ストーリー展開よりもエッチシーンそのものが重要なのですが、女性向けは、そのシーンにいたるシチュエーションも重要なのでしょう。主人公(ヒロイン)の心情面の共感を得るために、まわりの登場人物との係わり合いが(男性向けのものと比較すると)より丁寧に書き込まれている印象がありました。

でも、この作品はもう一度書きますが、エッチシーンを楽しむためのものです。ストーリーを追うのじゃなくって、エッチシーンがステキだ、ドキドキすると思えたら、この作品は価値があるということでしょう。
男性の目からみると、エッチシーンは、苺のとまどいや、性的な興奮が伝わってきて、なかなかの力作だと思いました。

女性はこんなふうにダイレクトな書き方するといやがるかな?と思いつつ・・・ 不快に感じた方がいれば、申し訳なく思います。
それでは。


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