(ティアラ文庫)「ガーディアン・ガーデン」感想

ガーディアン・ガーデン―乙女の守護者 (ティアラ文庫)ガーディアン・ガーデン―乙女の守護者 (ティアラ文庫)
著者:時田 ゆか
販売元:フランス書院
発売日:2009-07-03
クチコミを見る

半綺とよばれる人外、優れた戦闘力を持っていて、人間より綺麗な姿をしているからそうよばれているという設定です。
グラムヘイズとよばれる都市は、半綺が差別や迫害から逃れ、人間と共存できるかどうか試すために作られました。

うーん、優れた戦闘力を持った側が、差別や迫害されるというのはなんでだろうとか、つい考えてしまうのですが、なんでなんでしょうね。そういえば、半綺として物語にでてくるキャラクターは、全部男性なような気がします。

長々と半綺のことを書きましたが、なぜかというとこの物語について、なぜ主人公(ヒロイン)の恋の相手が半綺じゃなかったらいけなかったのだろうと、ひっかかっているからなんですね。

アズラエルというお相手の男キャラは、半端のない戦闘力を持ち、謎めいた過去を持っているようです。しかし、心優しく、機関から迫害された子供たちを守って、ひっそりと暮らしている。
そんな中、母親を半綺に殺されたことで異常に半綺に執着する主人公がアズラエルに遭ってその謎めいた行動に惹かれていくうちに、機関に所属する半綺たちとの間での戦闘に巻き込まれ、相思相愛になる。

あらすじは、上の通りなのですが、どうも中に入り込めない・・・
なんでなんだろう・・・ と考える事しばし・・・

ああ、そうだったと気付いたものがありました。そういえば、この物語の中に、普通の人間の男がでてきません。厳密には、黒服という主人公の護衛役とエピローグに主人公(ヒロイン)の父親がでてくるのですが、ほんのちょっとです。
そうなんですよ。男性の立場で読むと、自分の立ち位置というか、自分の分身というか、そういったとっかかりがありません。なので、どうも物語の蚊帳の外に置かれている感がぬぐえないようなのです。いや、半綺に自分の分身をおけるといいのですが、戦闘力すごくって綺麗というあたりがね。どうも自分と違いすぎてダメなんですよ(笑) それだったらも主人公(ヒロイン)になりきって読めればよいのでしょうけど、主人公(ヒロイン)も結構(男から見ると)謎めいてて、キャラとしては面白いのだけど、感情の移入先にはなりにくいというかなんというか。

そういった理由で、この物語の感想は、読者の性別によって異なると思います。女性向けの小説ですから、これもありだと思います。

さて、読者が女性の場合・・・ これはあくまで想像ですが、謎めいて強く、しかし自分を愛してくれる善良な存在とのラブロマンスを求めるのであれば、面白く感じるのではないでしょうか。とてもすんなりと読めますし、主人公をめぐる事件もいくつもあって、テンポがいいと思います。
物語の大半で相手役の半綺が、性的にもとても善良なため(紳士なため)、最後のエッチシーンにいたる過程がちょっととってつけた感があるのですが、これもまた女性だと感じ方が違うかもしれません。
普段は紳士な男だけど、求めてくるときには強引なタイプに変身する男を望む方には、こういった展開はツボなのではないかと思います。




そのほかのティアラ文庫の感想はこちらからどうぞ。