(ティアラ文庫)「384,403km」感想

384,403km―あなたを月にさらったら (ティアラ文庫)384,403km―あなたを月にさらったら (ティアラ文庫)
著者:向坂 氷緒
販売元:フランス書院
発売日:2009-09-03
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感想に入る前に・・・
作者の「向坂氷緒」さんというのは、どんな経歴の方なんでしょうね。
ネットで調べてもほとんど情報がないのですよね〜
2001/9に1冊アニメ(劇場版)のノベライズを出版されていることは確認できたのですが、そのほかの情報がさっぱりです。

といいますのは・・・ 

本作の担当編集さんとは、ティアラ文庫が立ち上がる前からのつきあいで、大好きな方ですけども、ティアラ文庫が立ち上がってからすっかりお忙しくなられて、こっちは放置ぎみです、いつか刺してやる(嘘)。

なんて、あとがきに作者さん書いていまして、いったいどんな関係なんだろうとすっかり謎だったんですよ〜 
えーと、本作の担当編集さん、あまり放置しすぎて刺されませんようお祈りしておきます。あっ、いらぬお世話か(笑)

さて感想です。

最初にこの作品の欠点をあげておきます。
この作品の欠点は、「短い」ということです。本編は、挿絵とかを除くと150ページほどです。また、空白行も多いので、かなり分量的には少ない中編小説といえます。そのため1冊として刊行するために、40ページ弱の短編をつけています。

短編も悪くはないのですが、僕はなくてもよかったかなと思います。
それよりも本編なんですが、過不足ないといいますか、ずっと前に完成していたのじゃないかなと思うくらい完成度が高いと感じました。いずれにせよ、足りない分量を補うために、本編を膨らませなかった。そして短く完結させたのは、とてもよかったと思います。

内容は、皆さんご承知のとおり、「百合」です。
主人公の美由紀(♀)は、幼稚園のころから理世(♀)を想いつづけています。でも、いろんな事情で(ややこしくはないけど、そのあたりは本を読んでね)、小中学校は理世とは違う学校に通わざるを得なくって、悶々としていました。しかし、高校は念願かなって理世と同じ高校に通えるようになり、理世への想いは募るばかり。それにエッチな妄想というか、本当にエッチしたくてしたくて悶々とする毎日です。

いやあ、これって美由紀を男の子に変えても、なんら違和感ないのですけど(笑) 美由紀が女装男子だったら、十分男性向けジュブナイルポルノになりそうです。
ええ、この作品は、とてもエロいといえます。
男性向けのエロ作品は、どちらかというと行為そのもののエロに終始しがちですが、この作品は、美由紀が悶々と自分の内側に「したい」という欲求を溜め込んで、それを一挙に爆発させる。そしてあとはエロ一直線という、心の内面から湧き上がり溢れかえるエロが特長だと思います。
これはやはり女性の持つエロなんじゃないかと、男性の目からみるととても新鮮で、そして興奮します。
行為もね。
指で・・・ とか 口で・・・ とかの表現がずっと続いていて、ねちっこくてこれはこれでエロいです。

いやあ、断言します。この作品は、「男性」にお薦めです。
少なくとも僕は興奮しました(笑)

女性は・・・
百合に嫌悪感を持っていない方でしたら、お薦めなんじゃないでしょうか。
どうもそのあたりは、僕が男なもんだから、よくわからないのですよ。
ごめんなさい。

ところで、イラストですが・・・
このイラストレーターは男性だろうなと確信しつつ調べると、やっぱり男性のようです。
男性であればわかると思いますので、思い切って女性の方に申し上げたいと思いますが、151ページの挿絵こそ「男性」視線です。えーと、そういう時はこういうビジュアルなんですね。なので、百合の時もこんな感じだろうと僕は想像しています。
それで、この絵に興味がある、あるいは、嫌悪感はないのでしたら、たぶん百合もいける口だと思いますので、お読みになったらいかがでしょう。

(いやあ、百合小説の感想は、とても書きにくいですねえ。しみじみ・・・)



(追記)
9月は、僕の応援している「わかつきひかる」さんもティアラ文庫で新刊を出しています。
そちらの記事は、「わかつきひかる」さんを応援するWikiの方にかいていますので、この機会にぜひご一読ください。
また、これまで既刊のティアラ文庫すべての感想も書いていて、そのリンクもおいています。

わかつきひかる」さんの「王子が恋する女神姫〜薔薇と陰謀の舞踏会〜」のページはこちらです。