(ティアラ文庫)「太陽神の姫巫女」感想

太陽神の姫巫女

太陽神の姫巫女 (ティアラ文庫)
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これは読むのに時間がかかりました。
途中でわからなくなるのです。それで元に戻るというのを繰り返すことになってしまいました。でもそれでも分からなかった(笑)

そこで、仕方ない・・・ 付箋紙を取り出してきて、その表現がある部分にひとつずつ張って、丁寧に読み繋いでみて、ようやく理解できたというわけです。(付箋紙9枚使いました)
第一章なんですけどね。たぶん、読み終わるのに数日かかっています。

何が理解しにくかったかというと、エメラルド階層の神殿の構造とその他の建物などの位置関係です。
主人公がなにか他の場所に行く都度、主人公は今どこにいるの?と、僕の頭の中は迷子になってしまいました。うん、今はちゃんと理解できていますけどね。人物紹介の絵のところに略図かなにかがあるとよかったなあ。

さて、物語ですが、まず第一章では、シュエラが姫巫女に選ばれ、イスファーンに仕えるまでが書かれています。
その中で、イスファーンから命令され、シュエラはお風呂にお湯を溜めるのですが・・・
お湯を沸かしているのは、女官宮の厨房です。厨房からお風呂へは、女官宮の外へ出て、88段(183p)の階段を上って神殿に入り、さらに神殿の3階に上った後、螺旋階段を上りバルコニーへ出る。そこにお風呂がある。そんな位置関係なんですが、そこまで片道数分かかると書いています。(128p)
何往復でいっぱいになるかというと、約5分の1を10往復ほどで入れられると書いています(136p)ので、約50往復ほど。仮に片道3分としても、溜めるのに5時間ほどかかる勘定になってしまいます。お湯いれるのに5時間もかかるとお湯冷めちゃいますよぅ(笑) 片道6分だと10時間! 物語の時間軸がおかしくなります(汗)

このシーンは、井戸から水を汲んでバルコニーの桶のようなものに溜め、お風呂のそばで火を焚いてお湯を沸かすような設定の方がよかったと思います。
まあ、姫巫女ひとりでイスファーンの世話と神殿の管理をやるという設定にちょっと無理があるような(笑)

ただ、こうやって何度も読み返したりしたせいで、この物語の世界観みたいなものはずいぶんと理解がすすみました。
それに、作者紹介欄に中世建築が好きだと書いていましたけど、建築物の表現はなるほどと思わせるものがありますね。どうも、太陽神の神殿は、セント・ポール大聖堂のようなバロック建築のようなものかなと感じていますが、どうでしょう?
(はじめゴシック様式かなと思ったのですが、もう一度読み直してイメージが変わりました)

さて、第二章からは、一転、難しいところはなく、物語はどんどんすすみます。おてんばな姫巫女のシュエラは、お告げのあった場所へ囚われた少女を救い出しにいきます。そして剣を持って大立ち回り。大活躍です。
そして、少女たちを救出して帰る最中に、今度は、武官のガラムから迫られて処女喪失の危機が。しっかり濡れちゃっていますけど、なんとか守りぬきました(笑)
第一章では、イスファーンに迫られて濡れちゃいますし、第三章では、カザルス王から剣で辱められて濡れちゃいますし、えーと、シュエラちゃん、かなり淫乱敏感な体を持っているようですね。

第三章では、武官のガラムのヒミツが明らかになり、そしてカザルス王の力がシュエラの前に立ちはだかります。そして、姫巫女としての力が覚醒し、雨を降らしますが、そんな中、囚われていたイスファーンが脱出し、シュエラを救って二人は結ばれます。
いい男たちがよってたかって好意を示してくれ、感じて身体は反応したけれど、一線は踏みとどまる。そして好きな男性と結ばれる。女性の読者には、乙女心くすぐられて楽しい!と思える物語なんではないでしょうか。

そして、最後は、三人の男との逆ハーレム状態に! でも私の想い人はひとりなのよ〜 という王道展開で幕となります。
僕にとっては、いろいろとひっかかるところが多かったのですが、女性読者には好まれそうな物語だなと思いました。

エッチシーンもね。前戯中心の表現で、これも女性好みかなと思います。





(追記)
わかつきひかる」さんの「王子が恋する女神姫〜薔薇と陰謀の舞踏会〜」の記事(感想など)を書いています。ページはこちらです。
また、そちらには、これまで書いた既刊のティアラ文庫の感想へのリンクもはっています。
ぜひご覧ください。