（スマッシュ文庫）「おしえて！マーメイド」感想というかなんというか・・・

おしえて!マーメイド (スマッシュ文庫)
著者：みかづき紅月
販売元：PHP研究所
発売日：2010-03-09
おすすめ度：
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ＰＨＰがライトノベル文庫を創刊しました。スマッシュ文庫です。
第一陣の１冊が、みかづき紅月さんの「おしえて！マーメイド」です。

みかづきさんは、最近新レーベルの創刊づいていますよね。
先日も、これを出しましたし・・・

獅子王(ぐれん)会長と喧噪と日常 (ガンガンノベルズ)
著者：みかづき紅月
販売元：スクウェア・エニックス
発売日：2009-10-22
おすすめ度：
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 獅子王会長と喧噪と日常もレビュー書こう書こうと思いつつ、なんだか時期を逸してしまいましたが、ガンガンノベルズの創刊の際の書店がかなりすごいことになっていまして、印象深く覚えています。

【コラム・ネタ・お知らせetc】　みかづき紅月先生「獅子王会長と喧噪と日常」　行脚レポ

池袋の店のディスプレイはだいたい見ましたけど、これはすごかったですねぇ。営業さんの辣腕ぶり？が目に浮かぶようです。

さて、ガンガンノベルズと比較すると、ＰＨＰ研究所のスマッシュ文庫は、これがまた正反対じゃないかと思うぐらいの作り方、売り方をしています。

まずは、本のスペックから・・・

「獅子王会長と喧噪と日常」
Ｂ6サイズ、318ページ、900円
1ページ19行、1行あたり42文字
口絵2ページ、挿絵10ページ

「おしえて！マーメイド」
Ａ6サイズ（文庫版）、195ページ、500円
1ページ17行、1行あたり42文字
口絵3ページ、挿絵15ページ、他、章扉絵6ページ

ガンガンノベルズは、サイズはコミックでよく使われるB6サイズですが、紙面はかなり量があります。
それに対して、スマッシュ文庫はサイズは文庫サイズですが、紙面は薄く、絵を多用し、ワンコインという値段づけ。
とても対照的ですね。

販促も、ガンガンノベルズはかなり積極的な書店営業を行ったもようですが、スマッシュ文庫は言い方は悪いのですが、わりとひっそりと立ち上がった感がありました。

文章の量も、ガンガンノベルズの「獅子王会長と喧噪と日常」は、普通の文庫本の1.5倍程度だと思われるのに対して、スマッシュ文庫の「おしえて！マーメイド」は、普通の文庫本の4分の3程度です。

文章量を少なくして、絵を多用する。値段もワンコインにする。
マンガを好んで読んでいた読者層を意識した作り方だと評価します。

さて、このスマッシュ文庫がどう展開し、市場に受け入れられるかどうか、とても興味深いと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、感想です。

ストーリーですが、やはり文章量を少なくして低価格にするという路線からくる影響がありますね。
１章は主要な登場人物の３人、主人公と主人公を追って人間になったマーメイド海凪先生と、幼馴染の蓮奈、その関係が描かれています。
２章はさらに海凪先生の妹（だけど足をはやす際に男になった）サンゴが登場します。
これで主要なキャラ紹介と設定の説明を終えたのですが、この時点ですでに全体の半分を消化しています。
キャラの紹介はきっちりとこなしているるのですが、苦心してかなり文章量を少なくしているように思います。
しかしあと一エピソードを入れるぐらいしかできないなという紙面しか残っていません。だからストーリーはとてもシンプル。人魚姫をモチーフにしているわけで、もう少し膨らまそうと思えばできたはずの設定なんですけどね。スマッシュ文庫の路線の影響だといえましょう。

みかづき紅月さんという作家さんは、とても器用というか、編集者が作りたい作品を書くことができる作家さんなんだなあという感を強く持ちました。
この作品の場合、どうしても紙面の影響でストーリーに起伏を作りかねるわけで、そこでキャラ立てに徹した感があります。
キャラ立ては、まあべたというかてんこ盛り感がありますよね。

マーメイドの天然キャラ、巨乳でお姉さんでメイドで先生の海凪さん。
幼馴染の典型的ツンデレキャラ、委員長でお隣さんで貧乳、ツインテールの蓮奈。
主人公を敵視する海凪の妹、しかし変身し損ねて男の娘になったサンゴ。
ね！　キーワードだけでもてんこ盛りでしょ？
おまひまのノベライズで鍛えられたせいでしょうか、こういった複数のキャラを動かすのもずいぶんこなれてきましたよね。

さて、このスマッシュ文庫、紙面の薄さから考えるとシリーズ化していかないとちょっと面白い作品は出にくいかもしれません。
この「おしえて！マーメイド」も、せっかくでてきた女性（ひとり男の娘）キャラがべたといえども魅力的なわけですから、もっといろんな絡み合いがあるストーリーを楽しみたいなと思います。そう、読後にちょっとした空腹感を残してしまうのですね。

２作目がでるのかな？
でてほしいな。
そう思います。