(ティアラ文庫)「桃色恋花伝」感想

桜色恋花伝 月下の婚礼 (ティアラ文庫)桜色恋花伝 月下の婚礼 (ティアラ文庫)
著者:平 純希
販売元:フランス書院
発売日:2010-04-02
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和モノ、戦国もどきなのですが、登場人物の言動、とくにヒロインの綾姫の言動はとても現代的です。
戦国時代をモチーフにした、現代の少女の恋物語と読むべきでしょうね。
そして、とても乙女心(最近僕にもわかり始めてきた)満載のラブラブストーリーです。


最初に僕個人の嗜好に基づくダメ出しをしておきます。
クライマックスの部分なのですが、お相手役の御影は総大将の影武者として実際の戦闘の指揮をとります。
そこまではいいのですけどもね。
数人の精鋭を連れて本丸に斬り込むって、なんなんでしょうね。
ドラマとして盛り上げたいという狙いはよくわかるのですけどね。
こういった類の行動は、蛮勇だと思います。僕にはかっこ悪く思えちゃうのですよね。

総大将の役割は、人を動かすこと。
個人でできることなんて、とてもちっぽけなことですから。
でもたくさんの人を束ねると大きなことができる。
そういった男こそ、真のヒーローだと思うのです。

だから、この最後のくだりは・・・
1.御影を総大将に山那国に攻め込む。
2.戦闘が膠着状態に。
3.御影が流れ弾で負傷。命に別状がないが総大将の負傷により月城軍の士気が下がる。
4.山那軍が押し始め、月城軍は窮地に。
5.月城の本城に戦線の状況が伝わり、パニックに。
6.綾姫、自分を総大将に(副官は氷室でしょうね)して、援軍を送るよう進言。
7.でも城には数百人の寡兵しかいない。
8.その中から100人ぐらいの寡兵を率いて進軍。
9.途中で綾姫は直接援軍に行かず、花雅国奪取の意図を告げる。
10.花雅国の重臣を調略し、その手勢を使い花雅国の本城を陥とす。
11.花雅国全土にふれをだし、軍勢を整える。
12.山那国へ進軍。
13.予期せぬ方向からの軍勢に山那軍潰走。
14.御影との感動の再会
15.余勢をかって、山那国の本城を陥落させる。
16.城の検分のため、御影と綾姫が二人が城の内部へ。
17.そこに隠れていた山那の影武者と手勢が現れ死闘に。
そして、爆発のシーンに繋がる・・・

僕は、こんな展開が好みなんです。


さて、長々とダメ出しというか、自分の好みの単なる説明になってしまいましたが、それはこの作品を評価していないからじゃなくて、とても面白く読んだからです。なんだか自分の気持ちを抑えきれなくなってしまい、こんな感想を書いてしまいました。

特に前半の逃避行の部分の、まどろっこしい二人のやりとりがとても乙女乙女していて、なんともいいんですよ。
そして揺れ動く綾姫の気持ちがとても繊細で、こういった雰囲気の作品は僕は大好きです。
だから・・・
ちょっと最後が惜しくって・・・ねっ!

ちょっと迷いましたけど、でも雰囲気が好きなので、この作品はおすすめしたいと思います。


最後に・・・
新人「特別」賞って何?(笑)
なんとなく、大人の都合っぽいにおいがするんですけどね。
筆致はしっかりとしていましたし、いわゆる新人さんではなさそうに思えたのですけどね。
まあ、憶測でモノ言っても仕方がないので、これくらいで。



追記
わかつきひかる」さんの「王子が恋する女神姫〜薔薇と陰謀の舞踏会〜」の記事(感想など)を書いています。ページはこちらです。
また、そちらには、これまで書いた既刊のティアラ文庫の感想へのリンクもはっています。
ぜ ひご覧ください。