(ティアラ文庫)「黒椿姫」感想


黒椿姫―雷鳥の暗殺者と公爵令息 (ティアラ文庫)黒椿姫―雷鳥の暗殺者と公爵令息 (ティアラ文庫)
著者:魚住 ユキコ
販売元:フランス書院
発売日:2009-07-03
おすすめ度:4.0
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主人公(ヒロイン)は、グロンヴァール国の第一王女です。
いずれ女王となって国を治めていかなければならない立場ですが、これまでも何度も刺客がやってきて、信頼していた家臣の裏切りにもあい、人を信じられなくなっています。
そんな中、2人の男性がでてきて、主人公にかかわってきます。
その2人との関係を中心に、あれやこれやが起こる、そんなストーリーです。

読み終わって・・・
いい意味で、少女小説ってこういうストーリーであってほしいという期待そのままの作品だと思いました。
登場する2人の男性のうち、1人は高貴な出身でプレイボーイ、1人は謎に満ちた男でクール。
この設定でどっちが本命かわかりますでしょ? もしわからない人でも、読みはじめたらすぐにわかります。

物語の中では、はじめ主人公はそんな気持ちに気付いていません。しかし次第に惹かれはじめて、それを自分で意識するようになるのですが・・・
キスがこの小説の肝です。キスをすることで、主人公は自分の気持ちに気付いていく。
唇へのキスで始まり、次に舌を絡めあうキス、そして男性の唇が首筋にふれ、そこからだんだんと下に降りていく・・・ そういった描写がとても丁寧に書かれていて、主人公の(性的にも、好きだという感情的にも)気持ちが高まっていく様がとてもいいですね。
男性向けのジュブナイルポルノとはまた違ったエロさがあると思います。男の僕もそう思うのですから、女性もきっと気持ちが高ぶるのでは? なんて思ったりするのですが・・・ どうでしょう?

でも最初のサービスシーンは初体験までいかず、途中で終わりです。

そして、本命の男キャラは、クールに去っていきます。
それは裏切りではなく、主人公への愛ゆえです。
なぜ、そんな行動にでたか・・・が、このストーリーの最大の謎ですから、ここには書きません。すみません。気になったらぜひ読んでくださいね。

そして、主人公はクライマックスで大立ち回りをした後、本命男キャラは初めて結ばれます。ここがティアラ文庫ですね。男女が愛し合ったらセックスするのは当然だと思うので、欲求不満が残らなくっていいなと思いました。描写は、少女小説としてはわりと濃い目と思います。でもきれいな感じだから、違和感はありませんでしたよ。

あっという間に読み終わってしまいました。とても面白い作品だと思います。


追記
この作品が気に入った人は、第3弾の「海賊と姫君」も気に入ると思います。


To:男性へ
大怪我をしているのに、それを微塵にも感じさせず、優しくリードして処女を奪うというのは・・・。少女小説にでてくる男キャラは超人です。自分と比較すると萎えたりしますので、自分のことはどこか部屋の隅にでも置いておきましょう。