(ティアラ文庫)「蒼月流れて華が散る」感想

蒼月流れて華が散る―絶華の姫 (ティアラ文庫)蒼月流れて華が散る―絶華の姫 (ティアラ文庫)
著者:南咲 麒麟
販売元:プランタン出版
発売日:2009-08-03
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この物語は、女性向けの物語で、男性は読者として想定されていないということを考慮せねばなりません。
僕はこの物語を読みつつ、ずっと男女の感性の差というものを感じたのです。カラクも蒼翼も志天勝も、同じ特質を持つキャラクターなんですね。

それは、主人公の琶遙のわがまま、悩み、怒り、そんなマイナスの感情につかずはなれず付き合ってあげ、琶遙を困らせるような自己主張をせず、琶遙の成長を優しく見守り、琶遙が必要な手助けをしてあげ、琶遙を裏切らず、琶遙を守り続け、琶遙に幸せを運んでくる。そういった男性です。

そういった、イイ男三人に囲まれて、主人公(ヒロイン)は目一杯ああだこうだと悩みまくる、そして最後は真実の愛を得てハッピーエンド、それがこの物語と思います。

女性のための中華風味のメロドラマ。僕はこの物語にこう名づけました。

主人公と一緒に、気持ちがふらふらっとすることを楽しむ物語です。そしてそれを取り巻く、中性的な美形の男性たちが彩りを添えます。
そして真実の愛を持つヒーローが、幾多の困難を乗り越え最後に捕らわれの姫を救い出してくれます。
真実の愛、それはあふれんばかりに注いでくれるものなのですが、それを与えられ主人公は幸せになります。
つまり、この物語は、女性のためのおとぎ話なんだと思います。
悪い意味ではないです。おとぎ話を読みたいと思う気持ちは、よくわかります。そして幸せな気持ちになれたら、それは素敵なことだと思います。



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