(ティアラ文庫)「紅の勾玉」感想

紅の勾玉 姫君の幼馴染は陰陽師 (ティアラ文庫)紅の勾玉 姫君の幼馴染は陰陽師 (ティアラ文庫)
著者:大槻 はぢめ
販売元:フランス書院
発売日:2009-07-03
クチコミを見る


タイトル通り、紅の勾玉(まがたま)がこの物語の肝です。
どんな力があるのか、少しずつ明らかになるわけですが、それは主人公(ヒロイン)を守るために与えられた、亡き陰陽師安倍晴明の忘れ形見なのです。ストーリーは、主人公(ヒロイン)の桜子と、安倍晴明の孫、光彰、そして安倍晴明と戦って島に流された陰陽師、葦屋道満の孫、泰雅との三角関係を中心に展開していきます。

陰陽師が貴族としてでてきますし、闇という名の怨霊もでてきますので、和風ファンタジーといえます。それ以外の設定は、平安時代の日本に準じています。

平安調ノベルってなんだかいいですね〜
つい、昔読んだ氷室冴子さんの「ざ・ちぇんじ」とか「なんて素敵なジャパネスク」を思い出してしまいました。
まあ、ヒロインの桜子は、さらに現代風にというか、ちょっと軽いノリの女の子になっていて、そんなあたりは時代の変化も感じたのですけどね。

さて、平安朝といえば、恋の物語はつきものということで、桜子の恋が描かれているのですが、この時代、男性の通い婚なんですよね。
男性は、手紙をせっせと出して、女性の気をひいて、そしておもむろに訪問し、関係を結ぶ・・・

いやあ、顔なんて会うまでわからないわけですから、そりゃドキドキというか、ある意味男女ともスリリングな感じだったでしょうね〜
手紙には人柄が十分にじみ出るでしょうから、かえってうまくいくのでしょうかね。今と違って筆と墨で書くわけですから、書き損じたら直せないですし、推敲に推敲を重ねていい男になりすますとかなかなか難しそうですものね。

実は、こんな手紙のやりとりのドキドキ感は、じつは桜子のガサツな雰囲気でちょっと減じられていて、ちょっと不満の残るところだったのですが、それも現代風といえばそんな感じ。
全体的に、軽妙に、予定調和的に、ストーリーが展開するので、読みやすいと思いました。
エッチシーンは、男性の目からみると、あまりエロくはないです。さらりとしてきれいにまとまっておりました。





そのほかのティアラ文庫の感想はこちらからどうぞ。