[]書評「ゴースト・ライト」

ゴースト・ライト (一迅社文庫)ゴースト・ライト (一迅社文庫)
著者:森野 一角
販売元:一迅社
発売日:2009-04-20
おすすめ度:4.0
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もっと早くこの感想を書くつもりでした。
でも、読んだのがもう1ヶ月ちょっと前だったこともあり、細部を思い出せなかったりしたので、もう一度読み直しました。


(感想はここから始まります。)

ツカミは重要って言いますよね。
この作品のエピローグ(第0話)が好きなんですよ。主人公の光は、この世に未練が残る幽霊を実体化させ、この世への手紙を書かせることができる、伝言屋(ゴーストライター)なのです。

未練を解決して、代金をいただく。立派な商売ですし、どんな幽霊がでてくるんだろうと期待が増していきます。
当然ですけど、これはお金になる!ということで、光の両親はこれを商売にしてしまい、それを嫌って光は一人暮らしをはじめたという設定です。
んー、もう少し、ゴーストライターの仕事を読みたかったな。
でもテンポよく物語は先に展開するんですね。

主人公の光くんは、女性恐怖症です。それは過去に真希という女性の幽霊に殺されかけたから。だから女性に触れると失神してしまいます。
いやあ、このシチュエーション、なかなか魅力的な展開が待っていそうに思いません? 森野さんは「ポルノ」も書きますしね。なんとなくわくわく!

そこに登場する女の子二人。まず最初に登場するのは、サブヒロインのサカエさん。「ボクには中谷サカエって立派な名前があるっすよ?」というメガネのカメラ小僧ならぬカメラ少女です・・・
いやあぁ、ちょっと微妙なキャラかもぉ。しかし、きっとメガネとると超絶美少女という設定に違いないなんて思いつつ読み進めるも、あれ?最後まで変わらないのですけど(笑) 道化役として物語の進行を助ける役割を持つ登場人物のようです。せっかく登場の仕方が思わせぶりだっただけに、もっとエロっぽくしてください〜 ベタだけど期待してしまったんですぅ〜(心の叫び!)

メインヒロインは、剣真夜さん。正統派(?)のツンデレ少女ですね。最初は光くんを倒して、5年前の展覧会の賞品、始まりの色のチェーンを奪うためにやってきました。でもね、そう、そこはお約束。実は・・・なんです。(ネタバレのため、伏せます)
それからお約束の混浴イベントなどはさみながら、真夜と光の関係を中心に話は展開しますが、ラブコメ要素よりも、学校の七不思議の探求と、昔焼身自殺をした男子生徒の幽霊との対決がメインとなっています。
特に、幽霊との対決の際、光の心象に光自身が飲み込まれ、そこで苦闘する姿はなかなか圧巻です。
ぼくはこの作品を読みながら、森野さんはオカルト的な物語を好んで書く作家なんだろうなと思いました。幽霊と真夜&光の対決はとても面白かったと思います。

逆にね・・・
いわゆるラブコメというかボーイミーツガール作品を望む読者には、ちょっと物足りないかもしれませんね。真夜さんも、もっとジェラシーたっぷりでツンツンにとんがっていてもよかったかな。(えらそうに、すみません)

でも・・・
なぜ光が女性恐怖症になったか。
なぜ真夜が光との対決を望むのか。
なぜ光は真夜が欲しがるストラップを絶対に守ろうとするのか。
光と真夜のそもそものなれそめの関係はどんななのか。
地縛霊となった男子生徒の深層心理とはどんななのか。
そして、隠していた真夜のヒミツとは・・・

こういった謎や仕掛けを徐々に巡らし、そしてクライマックスで一挙に収斂させる。この作品のプロットはとてもうまいと思います。
(でも、真夜=◎◎なのは、すぐにわかっちゃいましたけどね)
すらっと読めて、でもクライマックスはスピード感、テンポがあって面白い。とても手堅く、うまくまとまった作品だと思います。



追記
ぜんぜん、この感想の内容と関係ないのですが、昨日のエントリで出したトリビア質問の答えを書いておきます。

(問題)
わかつきひかるさんは、あるライトノベルのあとがきの中で、「膣口」というワードを使用していますが、それはどの作品のあとがきでしょうか?
(答え)
AKUMAで少女〜憑かれてぽよん〜
かわいがっているハムスターのチュー太郎くんがメスかもしれないって疑惑の説明に使っていました。そりゃ、いくらあとがきであっても、ライトノベルにポルノは書けないですよね。
え? つまんないって? いや、書いた後反省したんですけどね。次がんばるということで、許してください〜