(ティアラ文庫)「太陽神の姫巫女 薔薇の檻に囚われて」感想

太陽神の姫巫女 薔薇の檻に囚われて (ティアラ文庫)太陽神の姫巫女 薔薇の檻に囚われて (ティアラ文庫)
著者:斎王 ことり
販売元:フランス書院
発売日:2010-01-05
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ティアラ文庫としては、2作目となるシリーズものです。
前作にあたる「太陽神の姫巫女」は2009/10発売ですから、2作目発売まで3ヶ月、とても早い登場です。

ということは、売れ行きがよかった→2作目執筆依頼という流れではなくて、この作品は最初から2作目を出す予定で作っていたということでしょう。
作者の斎王ことりさんは、BLの人気作家さんらしいですね。すみませんBLは疎くて・・・
詳しくない上に憶測でモノを言って申し訳ないのですが、この小説、BL的雰囲気を持っているのじゃないかと感じています。主人公のシュエラですが、15歳の女の子。胸のふくらみも小さくて・・・ って、もし男に設定したらショタものになるんじゃ? なんて思いました。

セックスそのものは、エピローグにあるだけなんですよ。ほんの数ページ。じゃあ、この作品がエロなしかというと、全然そんなことはなくて、シュエラちゃん、作品の全編にわたって服を脱がされ、様々な男たちからキスされ、愛撫を受け、感じているという、なんていうんでしょう、いるかどうかはよくわかりませんけど、「苛められたい」願望の女の子がいれば、身悶えせんばかりの展開です。
なにせ、魔力を持ったツタにも犯されてしまいます。
ええ、触手ですよ(笑)


正直に申し上げて、男である僕には、ちょっとこの作品のよさがよくわかりません。
推測はできるのですが・・・
嫌悪感もないので、本当によくわからないというのが率直な感想です。
ストーリーは難しくないし、舞台設定も(前作は神殿の構造の理解に難がありましたが)わかりやすいので、問題ないですし。

前作で、逆ハーレム状態になっているわけですが、この作品ではさらに隣国の少年王クラウスも登場してきて、3人の男性から好意と行為を与えられるという逆ハーレム物語です。
強引といえばそうなんですけど、物語の半分ぐらいは、氷の国の美貌の少年王クラウスに捕らえられて、拘束され裸にされ、性的に苛められるという描写が続きます。
男性の目からみると、シュエラへのかなり過酷な扱いが、印象に残るのです。手枷足枷をつけたまま裸のまま囚われ、また性的な行為もかなり痛そう、特に膣への挿入のあたりとかね。濡れる前に指4本挿入ですか。
また魔力を持つツタの触手が犯す描写も、男性向けの触手の描写とはかなり異なりますね。感じるのはシュエラの苦痛なのです。
まあ、普通の男性はそうだと思いますが、女性が苦痛を感じる描写を喜んで読む人はそんなに多くないんなじゃないかと思っています。少なくとも僕はそういう描写は、全く性的に興奮しないのですね。
醒めた感覚で、この作品を読むにいたった所以です。


女性読者は、どこに視点を置いて読むのでしょうね。
それには関心がありますね。

女性読者は同姓であるがゆえ、シュエラの苦痛には耐性を持って読むのでしょうか。
自分をシュエラに重ねて、苦痛に耐えイスファーンへの愛を貫くシチュエーションに萌えるのでしょうか。
まあ、でてくる相手役は、武官のガラムまで入れると4人、皆が皆、イケメンですから、そんな4人と読者である自分との関係をそれぞれ想像して楽しむのでしょうか。
BL妄想で、そんな4人同士がくっつきいろいろするという妄想を楽しむのでしょうか。

前作は人気があったようですし、いろんな楽しみ方があるのだろうなと思いつつ、この作品の感想を終えたいと思います。



なお、トリビアになるのでしょうが、この作品は1ページ18行になっています。通常、1ページは16行で、1行40字、つまり1ページ640字です。
ページ数も299ページとかなり分量が多い作品です。



(追記)
わかつきひかる」さんの「王子が恋する女神姫〜薔薇と陰謀の舞踏会〜」の記事(感想など)を書いています。ページはこちらです。
また、そちらには、これまで書いた既刊のティアラ文庫の感想へのリンクもはっています。
ぜひご覧ください。