デジタル出版権を巡る動きの考察(その1)
先日、朝日新聞他に次のような記事が掲載されていました。
「電子書籍化へ出版社が大同団結 国内市場の主導権狙い」
この背景として、最近、アメリカではアマゾンのキンドルが売り上げを伸ばしており、アマゾンの利益を伸ばしている原動力となっている点があげられるでしょう。
「米アマゾン、「キンドル」効果で純利益69%増 7〜9月期」
電子書籍に関しては、技術的な問題は既にクリアされ、後はビジネスとして確立できるか、つまり誰がどのようなモデルで電子書籍を握るかという点に関心が収斂してきたと思います。
少なくとも、あと5年以内に、日本でも相当量の電子書籍が流通し始めるのではないでしょうか。
アメリカでは、アマゾンが電子書籍のビジネスの勝者となりつつあるようです。アマゾンのビジネスモデルでは、新刊を従来の紙の本の半分ぐらいの値段で販売し、35%を印税として著作権者(作者)に、65%をアマゾンがとり、キンドルへの配信の手数料などはアマゾンが負担するというと伝えられています。(注)
アマゾンは新刊では利益がでないと言っていますが、正直65%の取り分で利益がでないのはなぜか理解しづらい点もあります。しかし、新刊よりも利益を出しやすいものがあります。代表的なものが新聞・雑誌などの購読費と著作権切れの書籍です。
そこで、アマゾンでは新刊を思い切ってダンピングして安く販売し、顧客の囲い込みを図っているわけですね。そうして利益を出しやすい新聞、雑誌、著作権切れ書籍から利益を上げている、また端末も売れていきますので、その相乗効果で収益向上が実現できているというわけです。
さて文庫を定価500円で10000部販売した場合の収益モデルを計算してみます。
仮おきとして、著者印税10%、小売・取次マージン30%、製本原価40%として、次のようになりますね。
著者印税 50万円
製本原価 200万円
出版社 100万円
流通 150万円