わかつきひかる作品の昨年を振り返る(10)「ラッキーメイド天くん」

わかつきひかるさんのHJ文庫の前作が残念な結果になりましたしね。
この作品は、半年のインターバルをあけて、満を持しての登場となりました。
だからでしょうか「ラッキーメイド天くん」、もう吹っ切れたというかなんというか、伏せ字の連発(笑)
うん、これくらいとんがった方が僕は好みなのですけどね。他の方はどうなのでしょう? 「ラッキーメイド天くん2」も執筆完了していらっしゃいますし、わかつきひかるさんのホームページの投稿を分析すると「3」も出版されそうな感じなので、期待したいところです。

ところで「天使はいつも忙しい」の回で、僕はわかつきさんは四色作家さんだと思うと書きました。そしてこの「ラッキーメイド天くん」シリーズというか、HJ文庫の作品は、まさしく肌色路線の作品ですよね。


ところで、肌色ってどうやって作るかご存知ですか?
いえ、単なる色の調合の話です。

この色とこの色を混ぜるとどんな色になるのだろう?って疑問って持ったことありませんか? そんな疑問の回答を出せるサイトがあるのでご紹介します。
色調合

肌色を英語にするとスキンカラー? いえ、これはいろいろとややこしい問題があって使われません。日本人が肌色だと思っている色を説明しようとすると、「ペールオレンジ」が一番適当なんじゃないかと思っています。
直訳すると、薄いオレンジですね。

そして、わかつきひかるさんのホームポジションは、ジュブナイルポルノですよね。僕はジュブナイルポルノを、ショッキングピンクに例えました。
この色です。
ピンク

さて、この色から肌色を作ってみましょう。
まずは、白色をまぜて、色を薄くしていきます。
こんな感じかな?
薄いピンク

そこに黄色を混ぜていくんですね。そうですね。ピンク1、白2、黄色1で混ぜるとこんな色になります。
構成調合構成です。

調合後です。


実際にやってみて確認したい方は、こちらのサイトをご覧ください。

え?
それでどうしたって?

いえ、たいしたことではないのですけどね。
ピンクに白を混ぜて薄くするだけでは肌色にならないのですね。そこに黄色という違う色を混ぜて初めて肌色になる。
ジュブナイルポルノのエロを単に薄くするだけでなく、その上になにかを加えるとようやく肌色路線ライトノベルになる、それを目で見えるように説明したいなと思って、こんなことを書きました。


わかつきひかる」という作家さんは、そのジャンルの1作目にインパクトのある作品を持ってくるのですよね。
ジュブナイルポルノの「いもうと。Sweet&bitter」しかり、ライトノベルの「AKUMAで少女」しかり、官能小説の「舞妓調教」しかり。
それはそれですごいことだと思うのですが、その後、試行錯誤しながら、そのジャンルでの自分のスタイルを築いていく。
そういった努力家でもあると思っています。

ジュブナイルポルノは、既に美少女文庫のエースとして冠たるものがありますし、先日発売された「華族調教」で官能小説も手ごたえを感じているのではないかと思います。
うん、四色のうちの二色は既に手の内に入りました。

そして、肌色ライトノベルは・・・
この「ラッキーメイド天くん」シリーズで何かを掴もうとしているのではないかな、僕はそうみています。

つまり、言い換えると、わかつきひかるさんは、どんな材料の黄色の絵の具を入れようとしているのか、僕はそこにとても興味を持っています。
まだシリーズ最初ですから、それが何かまでは僕は掴みきれていませんが、2巻、3巻とシリーズが進むにつれ、明らかになるでしょう。

楽しみです。


ラッキーメイド天くん (HJ文庫)ラッキーメイド天くん (HJ文庫)
著者:わかつきひかる
販売元:ホビージャパン
発売日:2009-10-31
おすすめ度:4.0
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それでは、「ラッキーメイド天くん」より、印象的なシーンをピックアップします。


千早は背中に手を回してブラジャーのホックを外した。グレープフルーツのような、瑞々しい乳房がぷるるんと揺れながら飛び出した。
そして、ショーツ一枚の裸で、悪夢にうなされている天の横に添い寝する。
伊集院家に伝わる民間療法。熱をさげて意識を戻すおまじない。

裸でくっつくと気持ちいいよね。民間療法かどうかはわかりませんけど、高い熱を奪い、体温を保ち・・・ うん、裸で抱き合うのっていいのかもしれないな。
あまりこのシーンはエッチな感じがしなかったのですよね。でも千早の優しさが感じられて、僕は好きですね。このシーン。


「ううん……」
千早はうなされていた。
うなり声をあげながら、眉根を寄せて苦しそうな顔をして、首を左右に振っている。
おでこに手を当てるが、熱はない。
−−うなされているんだ……。
「も、もう、無理よ……ごめんなさ、い……お父様の、会社、守れな……」
千早は寝言を言いながら、手をさかんに振り回して、虫を払うような仕草をしている、
−−千早ちゃん、苦しそうだ。

(注)p193 「うなり声をあげなら」 ”が”の字が落ちています。念のため。


一言。
身につまされる・・・
寝られないんだよ。そして眠りも浅いんだ。それにどれくらい立ち向かえるかが人間の器だと思うのだけどね。千早ちゃんすごいと思います。


天は、そうっとベッドから降りた。
千早のベッドの下で、毛布にくるまって眠るのが、天のいつもの就寝だ。
「あっ」
そのとき、肘が当たってしまい、ベッドサイドに置いてあった聖書が落ちた。
聖書を拾いあげた天は、中から落ちた茶色いものを拾おうとして、驚きのあまり硬直した。
「こ、これ……」
茶色く変色した、しろつめ草の指輪だった。

ままごととはいえ幼いときの結婚式の思い出の品をずっと大事にしてくれたら・・・
それは男冥利(女冥利)に尽きるよね。そんな甘酸っぱい経験がある人ってどれくらいいるんだろうか? まあ、自分がそんな経験を持っていないだけに、こんなシーンが羨ましく、美しく感じるんだろうなと思います。
なので、このシーンを選びました。


さて、この作品は、第2巻に続きます。
この二人はどうなるんでしょうね。少なくとも、天は千早がずっと天のことを想ってきたってわかったわけだから、しっかりとしないとね。
本当に両思いになる展開ですよね。

さあ、両思いの関係で、肌色路線にするって・・・
これは楽しみだと思いません?



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